最近の医療背景

2017-03-10

最近の医療背景


1.始めに
高齢化社会を迎え、癌、糖尿病、脳卒中、心筋梗塞などの生活習慣病人口が急増し、経済的にも社会的にも大きな問題を将来に控えている。この状況を打破し医療費の削減や患者のQOL向上を実現する為にも、疾患を早期に診断し、的確な薬効予測に基づく投薬で早期に完治する予防的治療の確立が重要である。



たとえば癌診断においては、現在の画像診断で見つけられない「超早期の癌(invisible cancer;目に見えない癌)」の段階で抗癌剤を使用すれば、ほぼ100%に近い治療効果を上げられることが明確になってきている。C型肝炎ウイルス(HCV)やSARS、HIV、などの感染症、Papilomaウイルスによる子宮頸癌、クラミジアなどの性感染症や、脳卒中・アルツハイマー病などの神経疾患、加えて動脈硬化や糖尿病などの生活習慣病、これらすべての疾患で早期の診断が生命を救い、後遺症を軽減させ、治療効果を上げることができる。

このような診断法の確立を目指す上で最も重要な標的は、遺伝子や蛋白質バイオマーカーである。これまでにDNAチップや1遺伝子変異(SNIPS)などゲノムベースの診断方法が開発されてきた。しかしながら、疾患のリアルタイムな病態判断は、遺伝子からの最終産物である蛋白質の量比やリン酸化、分解など、その活性化状態の解析を行わない限り不可能であり、また細胞外分泌蛋白質は、血清・髄液・関節液などを用いて、アッセイの簡便さ、時間の短縮、安定性などが増し、低コストが期待できる。また、尿、唾液、涙液、汗、子宮粘液など非侵襲的にアッセイが可能となる。

バイオマーカーの探索研究は世界中で活発に行われており、診断のみならず臨床試験における指標としての期待が高い。バイオマーカーを臨床の場で実用化するためには、「候補蛋白質」の探索、アッセイ法を確立してバリデーションをして、簡便化・自動化スクリーニングのためにフォーマット作りという3段階を経なければならない。癌などではバイオプシーにより細胞種、進行度、薬剤耐性、転移の有無など、細胞・組織の僅かな変化を調べることができるが、ほとんどの疾患では血中・尿中の蛋白質が対象となる。癌細胞が増殖すれば周辺組織が損傷されるので、健常時には見られない量の転写因子、レセプター、チャンネル、キナーゼ、プロテアーゼ、細胞骨格分子の断片などが血流中に出てくるので、それら既知物質のパターンを定量的に解析すれば症状との相関がとれる。最近注目されだしたメタボロームも同様で、既知分子群のパターンから疾患表現型との相関を取ることはできる。

現在までに報告されている数千個以上もの蛋白質の大半は、最先端のプロテオミクス技術を用いることもなく、二次元電気泳動法などのアナログ的な古典的手法で見出されてきた。疾患と相関性のある既存のバイオマーカーはすべてこれらの既知分子から選択されている。SwissProtやLocusLinkなどの蛋白質データベースを分子生物学的に解釈することは一般におこなわれているが、医学的・生理学的な変化に伴って変動する血中濃度との相関性が取れているのはわずか500種類程度しかない[1]。プロテオミクス関連の技術革新・自動化が進めば、膨大なデータを解析するためのアルゴリズムが必要となる。どの分析手法、データベース・解析ソフトを選択するかで得られる結果に大きな差が生じることにも注意しなければならない。アンダーソンらによると、4つの異なる手法で同定された血漿中のNon-redundantな蛋白質1175個のうち、2つ以上の方法で確認できたのは195個、4つの手法すべてで確認できたのは46個であった[2,3]。プロテオミクス解析の鍵は、厳密に表現型を規定した「良質の試料」を用いることである。試料採取から何時間も経てから処理したのでは、血漿中のプロテアーゼによって蛋白質分解が進行してしまった産物を無意味な解析をすることになりかねない。細胞内蛋白質の3分の1はリン酸化されているといわれ[4]、疾患メカニズムや薬剤作用メカニズムの解明に摘出組織を用いようとすると、ほんの数分間で蛋白質のリン酸化などの機能変化を生じてしまう。採血試料を迅速にディープフリーズ処理すると同時に、解析方法も迅速かつ再現性の高いものでなければならない。

2.バイオマーカーの実用化について
二次元電気泳動と画像解析および質量分析の組み合わせ、多次元クロマトグラフィ-と質量分析の組み合わせ、プロテインチップと質量分析を組み合わせ(SELDI法)など、様々な方法で疾患と相関するバイオマーカーを見出すことができる。バイオマーカーが同定されれば、個々のマーカーをELISA、EIAなどで定量的に検査する。しかしながら、腫瘍マーカーを例にとって見てもわかるように、単一マーカーの特異度、感度は満足できるものではなく早期診断に使うには限界がある。大腸癌ではCEA, CA19-9, CA125, CA72-4, NCC-ST-439, IAP, TPA, ICTPなど多くの診断マーカーが使われるが、早期発見は今もって血便検査に大きく依存しており、これらのマーカーは確定診断された後の治療経過や再発モニタリングに有用である。いくつかのマーカーが継続して異常値を示せば、癌の再発が進行していることもかなりの確度で予測できる。そのような極めて初期の状態では、画像上で癌の姿を捕らえられないことが多いことを考えると、バイオマーカーへの期待度が高いことが理解できる。

このようにプロテオミクスの手法で見いだされてきた多くの蛋白バイオマーカーは、その多くが、従来の蛋白アッセイ法では感度が悪く、極微量の血中標的タンパク質が検出できない場合が多く、臨床に応用するためには、高感度でしかもコストの安い新しい基盤技術が求められている。

これらの問題点を解決する次世代の診断基盤技術の3要素として、①超高感度、②同時多項目測定、③高速化が上げられる(図1)。超高感度は現在のELISAの最高検出感度であるpg/mlを超える感度を指しているが、超高感度が必要な意義として、臨床サンプルの量がきわめて少なくて済み、多くの種類の項目を測定できる利点と、超早期のバイオマーカーを検出できることである。これまでの多くのサイトカインや増殖因子、ガンマーカーなど、ng/mlやpg/mlレベル以下の測定範囲では、新たな価値が見いだされる場合が多くあるのではないかと考えられている。

多項目測定の必要性は言うまでもなく、診断の正確性や一度に複数の疾患、病態が把握できる点で必須な項目である。ただし、遺伝子検査以外で同時多項目診断が認可された例は皆無であり、厚労省認可の大きな壁があるものの、どの分野、開発メーカーにおいてもその必要性を疑っている研究者、医師はいないはずである。問題は、そのコストが下げられるかどうかなど経済的な要因が多くのしかかっている。上記の3要素に加えるとすれば、製造コストの要因であろうか。




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MUSTag法の原理

2017-03-10

MUSTag法の原理


私達は、これらの背景のもと、①血液一滴で、②数十種類の、③蛋白質バイオマーカーを、④超高感度に⑤迅速診断できれば、生活習慣病を含む多くの疾患の超早期診断が可能となるばかりか、薬剤の感受性予測や予防的治療法など、「個別化医療」を目指した診断が確立できるとのコンセプトの上で、新たな診断基盤技術の開発を進め、以下述べる超高感度多項目同時診断法(MUSTag: Multiple Simultaneous Tag)の開発に成功した。

「MUSTag法の原理」
これまで脳卒中などの虚血性脳障害の発症機序や薬剤の効果を検討し、臨床応用への道を探っていた際、虚血性脳障害は2時間以内に、簡便にしかも正確に救急車の中で判定できる診断を行うことが非常に大切であるとの観点から、①一滴の血液から、②複数のバイオマーカーを、③0.1 pg/ml以下の高感度で、④2時間以内に、⑤ハンディーな機器で解析できる診断法の開発を目標にした。これらの条件を満たす基盤技術として、抗体に長さの異なるDNAオリゴを付加すると、遺伝子増幅器(PCR)にて超高感度に定量化でき、しかもオリゴの長さや配列を変えることにより理論的には無制限に抗体を識別できる方法、MUSTag法の開発に成功した。

具体的には、抗体に特定の長さのオリゴ(オリゴヌクレオチド100 –600 mer)を付加したコード化抗体を用いる蛋白バイオマーカーの検出手法で、複数のバイオマーカーを一斉、迅速に、且つ高感度で定量測定しうる。この原理、いわゆる免疫PCR(immuno-PCR)法は、1992年にSanoら (Sano, T. et al. Science, 1992) によって報告され、蛍光物質や酵素の代わりに特定の長さ・配列のオリゴDNA鎖を抗体に標識し,PCRを用いて抗原抗体反応のシグナルを増幅することで高感度を得る方法である。免疫PCR (immuno-PCR)の原法では、オリゴDNAと抗体との結合における非効率性と、PCRで増幅するためバックグラウンドが高く、正確な標的蛋白の定量ができず、10年以上実用化に至らなかった経緯がある。私たちは、上記の問題点を克服するため、抗体-DNA間の結合にProtein Gとアビジンの融合タンパク質をアダプターとして用いることで,①結合効率90%以上、②作製時間30分以内、③使用品目をすべてディスポーザル化、④低コストが可能となった。


この方法では、モノクローナル、ポリクローナルの種類によらずオリゴDNAとの安定的な結合やさらには、製品化の際の安定性まで確保でき、すでにシンセラ・テクノロジーズ社が製造元になり、TaqManプローブ法を用いてサイトカイン・増殖因子を3項目同時に測定可能な3plex検出キットと、インターカレーター法で測定を行える単項目検出用の1 x 6 Seriesを販売している。また、オーダーメイドによる抗体のMUSTag化も随時受け付けている。製品のラインナップ等の詳細に関してはシンセラ社のウェブサイト(http://www.synthera.co.jp/)を参照されたい。




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MUSTag法による測定方法

2017-03-10

MUSTag法による測定方法


本MUSTag法は、解析プラットフォームの一つとして、既に広く普及している定量Real-Time PCR(qRT-PCR)やDNA判読装置(Sequencer)を用いることができる。MUSTag法によるアッセイは従来のサンドイッチELISA法や磁気ビーズなどを用いたいわば免疫沈降法と同様の反応系を用いて行い、ELISA 法の場合には、MUSTag化した抗体を検出用抗体として、プレート上の固相化抗体に捕捉された抗原と反応させる。

オリゴDNA鎖にはEcoRI切断部位が挿入されているので、洗浄後、プレート上の抗原と反応したMUSTag化抗体のDNA部分をEcoRIで切断・回収して、qRT-PCRにより検出が可能である。この場合、MUSTag化抗体により抗原抗体反応のシグナルをDNA量に変換し,qRT-PCRで定量性を維持しつつ増幅させることで、従来の酵素標識等を用いた検出法と比較して非常に高い検出感度を再現性良く得ることができる。

また、抗体毎に長さや配列の異なるDNAを標識することで、capillary電気泳動装置で1well内の複数の抗原を同時に測定することも可能である。現在推奨できる測定法は、単一測定(Single plex)ではCybergreenなどのインターカレーターを用いて、複数同時測定(Multiplex)ではTaqMan法(蛍光プローブ法)によるqRT-PCRを用いている。


各標識DNA鎖に対応するプローブの色素を違えることで、現時点で最大4種類の抗原の同時検出・定量が可能になった。インターカレーター法による単項目測定の場合は特に機種は問わないが、多くの機種がsingle plex用であり、3 plex検出キットによる多項目測定を行うには,蛍光プローブ法での多波長同時検出(3波長以上)に対応している機器が必要となる(Stratagene社の Mx3005Pの使用を推奨)。キット付属のTaqManプローブにはFAM・HEX・Cy5色素が用いられているので、これらの色素に合致するよう蛍光フィルターの調整等を行う必要がある。

一方、シークエンサーなどのcapillary電気泳動装置では、ABI社などのGene Scanにより、通常15-20回のサイクルの増幅で十分な感度が得られている。この際、MUSTagオリゴは、3-100万倍に増幅され、約25回までのPCRサイクルはこれまでの各種の研究により、標的遺伝子(この場合はMUSTagオリゴ)の量に応じた直線的な増幅(定量性)が可能であることが証明されているため、各サンプルの濃度に応じてPCRサイクル数を変え測定する。

「時間短縮のための超高速PCRの開発」
MUSTag法での測定は、ELISA法に準じた手技と反応後にMUSTagオリゴを制限酵素で切り出し、定量RT-PCRでの測定の順序を経る方法が一般的である。このとき抗原抗体反応系に最低2時間、定量RT-PCRの測定時間に2時間、合計4時間程度が必要となる。癌や痴呆症など検査結果に時間を要してもかまわない場合には問題はないが、感染症など感染現場や外来での測定など、短時間で結果を得る必要がある場合には測定時間が大きな障壁になる。この場合、抗原抗体反応系の短縮と定量RT-PCRの測定時間を短縮させる必要があり、この目的のためには、抗原抗体反応系をチップ上で行う方法やPCRの時間の短縮を行わなければならない。

私達はまずPCRの時間短縮を目的に、共同開発を行い、100-200 bpの長さのDNAならば10分以内に定量RT-PCR測定が可能な機器を開発した。この遺伝子増幅機器は従来の方法で用いている温度の上げ下げの時間を短縮させるため、平面の熱板を120度の面積ごとに温度を変える方式をとり、測定サンプルをcompact CDに乗せることにより一回の回転でdenature (95度)、Annealing (55度)、Extension(72度)の熱源の上を通過させ、驚異的な時間短縮に成功した。これによりMUSTagアッセイの測定時間がほぼ1/2程度に短縮できる。また、遺伝子増幅であるため、MUSTag法の測定だけでなく、感染症に関わるウイルスや細菌の遺伝子検出に大きな威力を発揮する。実際、東京都の福祉保健局が進めているインフルエンザ対策の一環として、本超高速PCRを使用した迅速インフルエンザ遺伝子診断への応用を開始した。


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MUSTag法の感度

2017-03-10

MUSTag法の感度


MUSTagの測定では、血清中や組織中などの蛋白質が標的になり、また、同時測定項目数など、各条件でPCRの条件も異なる可能性はあるが、これまでにMUSTagを用いたELISAプレートアッセイやビーズアッセイでの感度を測定した。TaqMan法によるqRT-PCRにてR&D Systems社から購入したIL-1alphaのELISAサンドイッチアッセイ用抗体2種類を用いて、ビーズアッセイにより解析した結果、1 ng/mlから最高達成感度 8 fg/mlまで優れた定量性を示し、超高感度域においてもスタンダードを置くことにより定量測定が可能であることが明確になった。ただ、このような超高感度の測定は、使用する抗体の特異性やKd値、また使用する生体サンプルに依存するため、さらに安定的な測定を行うための改良として、抗体作製やアッセイ試薬の改良を進めている。



「MUSTag多項目アッセイとELISA法との比較」
シンセラ社製のサイトカイン(IL-6、IL-8、EGF)および血管新生因子(bFGF,HGF,VEGF)3plex検出キットを用いて、正常ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)の培養上清中の各因子の濃度を測定した。方法として、MUSTag法による各測定因子の検量線及びELISA法との感度比較、リアルタイムPCRでの測定結果から各サンプルとネガティブコントロールのCt値の差分(ΔCt)を求め,標準希釈液の測定値から検量線を作成した。比較対照としてサンドイッチELISA法(HRP-TMBによる発色検出)による測定で得られた検量線を併記した双方の検量線から検出限界を算出した。

まず、比較的感度がよく、従来のELISA法でも頻用されている、IL-6、IL-8、EGFに関して、一定の刺激による正常ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)の培養上清中濃度を測定した。従来のELISA法では、培養上清200 microLを用い、それぞれ最高感度がIL-6(19 pg/ml)、IL-8(30 pg/ml)、EGF(32 pg/ml)であったが、MUSTag法による3 Plex同時測定による各サイトカインの最高感度は、それぞれIL-6(0.17 pg/ml)、IL-8(0.18 pg/ml)、EGF(0.043pg/ml)と110- 740倍の感度上昇が得られた。しかも、培養上清は各1 microL しか用いていない。一方、ELISA法では因子の検出が不可能だったbFGF、HGF、VEGFの各因子に関しても、測定値が測定可能レンジ内に収まることが確認され、培養上清200 microLを用いることで、52 pg/mlから75 fg/mlの範囲で測定できた。また、これらの測定において、12回独立したアッセイの測定誤差はSD=2.2%と臨床サンプルの測定に十分耐えられる再現性をも確保できることが明らかとなった。以上より本MUSTag法を用いることで、①従来測定できなかった因子が測定可能となり、また②使用するサンプルの量が少なく、一回の実験で数10 - 100項目の測定が可能となった。特に②の利点は、遺伝子改変マウスの血液など、少量の血清しか得られない場合や、マウスを殺さず経時的に観察したい場合などに有利な条件である。




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臨床応用

2017-03-10

臨床応用


 MUSTag法の臨床応用に関しては、これまでに

  1. 血清を用いたC型肝炎ウイルスのコアー蛋白、
  2. 濾紙血から抽出したalpha-galactosidaseの定量による遺伝病であるFabry病の診断、 およびその他、Gaucher病、Pompe病の3種類同時診断、
  3. 子宮頚部粘液をもちいた子宮頸癌の早期診断、
  4. 尿を用いた膀胱癌の治療効果予測、などの開発。
  5. その他の疾患として、髄液を用いたアルツハイマー(Alzheimer)病など


の早期診断、治療効果予測などの開発も始めている。




これらの結果から、MUSTag法は従来のELISAとほぼ同じく、各種の体液、組織抽出液などほぼすべての臨床サンプルに対応できることが明らかとなっている。特に尿や髄液はサンプル中のアルブミンやグロブリン、その他の挟雑蛋白が少なく、fg/mlレベルの検出が可能である。今後は、パラフィン固定サンプルでのMUSTag法の応用も進めており、多くの臨床疾患の早期診断、治療効果予測、予後判定、多疾患同時診断など応用範囲はおおくなると期待している。

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まとめ

2017-03-10

まとめ


 近年のプロテオミクスの発展に伴い、複数種類のタンパク質を同時に、かつ高感度に定量するための診断測定技術の需要が高まってきている反面、こうした測定系は高価な検出装置が必要、運用に専門的知識を要し、また、一方で検体の形状・形態に合わない等の理由で、実際の導入が難しい場合も多い。MUSTag法は、検体の調製法やアッセイの操作手順といった従来のプレート法、ビーズ法でのノウハウをそのまま生かしつつ測定を高感度化・多項目化させることができる。そのため、既存のELISA法を用いた実験系にて即座に活用することが可能であり、基礎研究から臨床応用に至る様々な蛋白質測定において簡易かつ有力なツールになりうると考える。

ただ、現在の問題点として、抗原抗体反応+qRT-PCRでの測定にかかる時間が少なくても2-4時間以上を要し、高速化の要因を満たすところまでは至っていない。qRT-PCRの高速化に関しては、他社との共同開発にてすでに超高速RT-PCRが商品化間近である点、さらには、現在の技術の改良にて高速ELISAチップなどの技術が加わると、全行程15分以内の測定時間が達成できる可能性を考えている。

MUSTagに加え、これらの技術を結集させることにより、①同時多項目測定、②超高感度、③高速化の3要素を満たすことが可能であり、これによりさらに基礎分野、臨床分野のみならず、創薬、食品などの分野への応用も飛躍的に進むと予想される。



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参考文献

2017-03-10

参考文献


参考文献
1. Mark S et al : Biomedical informatics for proteomics, Nature, 422, 233-237, 2003

2. Anderson, L. et al : High resolution two-dimensional electrophoresis of human plasma proteins, Pros. Natl. Acad. Sci. 74: 5421- 1997

3. Anderson, L et al : The human plasma proteome: A non-redundant list developed by combination of four separate sources Molecular and Cellular Proteomics 3: 311-26, 2004 (http://www.mcponline.org/)

4. Simpson, RJ et al : Cancer proteomcs: from signaling networks to tumor markers. Trends Biotechnol, 2001, 19, S40

5. T. Sano, C. L. Smith, and C. R. Cantor, Science (New York, N.Y 258 (5079), 120 (1992).

6. M. Adler, R. Wacker, and C. M. Niemeyer, Biochemical and biophysical research communications 308 (2), 240 (2003).

7. H. Zhang, X. Cheng, M. Richter et al., Nature medicine 12 (4), 473 (2006); C. M. Niemeyer, M. Adler, and R. Wacker, Nature protocols 2 (8), 1918 (2007).

英文(MUSTag法を使用した論文)
1. Kim NH, Jung HJ, Shibasaki F, Kwon H; NBBA, a synthetic small molecule, inhibits TNF-alpha-induced angiogenesis by suppressing the NF-kB signaling pathway. Biochem. Brain Res. Comm. 2009 Dec. 30. [Epub ahead of print]

2. Chen L, Endler A, Shibasaki F.: Hypoxia and Angiogenesis: Regulation of Hypoxia-Inducible Factors via Novel Binding Factors (Review Article) Exp. Mol. Med. 27, 2009 Nov. [Epub ahead of print]

3. Chen L, Endler A, Uchida K, Horiguchi S, Morizane Y, Iijima O, Toi M, and Shibasaki F: Int6/eIF3e Silencing Promotes Functional Blood Vessel Outgrowth and Enhances Wound Healing by Upregulating HIF2Expression. Circulation (in press)

MUSTag関連の邦文
1. 芝崎 太、森實芳仁、槇坂典子、陳リー;MUSTagによるバイオマーカー診断.Medical Science Digest 35, 309-310, 2009

2. 芝崎 太、森實芳仁,槇坂典子: MUSTag法による蛋白バイオマーカーの超高感度多項目測定と簡易・迅速診断への応用. 臨床病理57, 1104-1112, 2009

3. 芝崎 太、森實芳仁,槇坂典子: トピックス:MUSTag法による超高感度同時多項目測定. 基礎老化研究会誌 33,17-21,2009

4. 芝崎 太、森實芳仁、槇坂典子、陳リー、児玉 崇;超高感度多項目解析(MUSTag)法を用いた次世代バイオマーカー測定.医療と検査機器・試薬32, 397-407, 2009

5. 芝崎 太:蛋白質バイオマーカーの超高感度多項目・迅速測定.医学の歩み 231. 921-923, 2009

6. 芝崎 太、森實芳仁、石川雄一郎、槇坂典子、小俣結子、陳リー、内田和代:超高感度多項目解析(MUSTag)法による臨床診断への応用. 臨床病理 56, 802-810, 2008.

7. 芝崎 太、森實芳仁:個別化医療に向けた多項目検出法の意義と応用. 日本医事新報 4400, 44-48, 2008.

8. 森實芳仁, 石川雄一郎, 陳リー, 内田和代, 芝崎 太:クローズアップ実験法 「最新イムノPCR法:MUSTag法を用いた極微量タンパク質の同時多項目測定」. 実験医学 26(11): 1759-1765, 2008.

9. 藤田芳司、芝崎太、内海潤:プロテオミクス創薬の現状。分子呼吸器病(先端医学社)10, 102-110, 2006

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